2025年4月16日、新日本プロレスに激震が走りました。
絶対的エースとして長年団体を支え続けてきた**内藤哲也選手(42)と、「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)」の仲間であるBUSHI選手(42)**が、新日本プロレスを退団することが公式に発表されたのです。
ファンにとっては衝撃の展開。長年「制御不能なカリスマ」として愛され続けた男の、新たな一歩。
その決断の裏には、一筋縄ではいかない苦悩と覚悟がありました。
契約交渉は決裂、内藤はフリーのまま試合出場していた
内藤選手は、2024年1月31日に所属契約が満了していましたが、契約更改には至らず、その後はフリーの状態で試合に出場していました。
契約交渉は何度も行われ、2025年4月3日の4回目の交渉の場で、ついに内藤選手自身が正式に退団の意思を表明。
団体は彼を引き留めるため、ぎりぎりまで慰留に努めましたが、最終的に4月16日未明、退団が正式に認められたという流れです。
内藤哲也選手の退団理由は?深層にあった“プロとしての美学”と“理想とのズレ”
さて、ここで多くのファンが最も気になっているのがこのテーマ――
**「なぜ今、内藤哲也は新日本プロレスを去るのか?」**ということ。
実はこの問いに対する答えは、非常に複雑で、内藤選手のプロレス人生そのものに深く関わっています。
1. 選手としての“出場格差”への疑問と葛藤
内藤選手はここ数年、団体内での選手起用の格差に対して、強い疑問を持ち始めていたといいます。
一部の選手に対して試合数が偏っていたり、自身がIWGP王者だったにも関わらずカードに恵まれないことが多かったりと、「本当に公平な起用がなされているのか?」という疑念が心に引っかかっていたのです。
特に昨年の契約更改の際から、すでにこの点に関する不満があったことを明かしており、「中途半端な気持ちでリングに上がりたくない」というプロとしてのこだわりが、契約更改を保留し続けた背景にありました。
2. 「納得できる自分」でリングに立ちたいという強い信念
内藤選手はかねてより、「心から納得した状態でないとファンに失礼だ」という信念を持っていました。
2005年の入門テストの際、「新日本プロレスへの思いは誰にも負けません」とアピールした青年が、20年を経て直面した現実――
理想と現実のギャップ、組織の論理と個人の情熱とのすれ違いに、苦しみ続けていたのです。
「あの頃の気持ちと違ってきてしまったのかな…という想いがある中で、契約することに疑問を感じる」と語るその言葉には、
組織に順応するだけではなく、「自分のプロレス観を貫きたい」という静かな闘志が感じられました。
3. 満身創痍の中で感じた“残された時間”への覚悟
もう一つ、内藤選手の中で大きかったのは体の限界に対する自覚でした。
現在42歳、6月には43歳を迎える内藤選手。
ここ数年は右目の上斜筋麻痺という症状にも悩まされており、視界に支障をきたす中での試合は、精神的にも肉体的にも相当な負担となっていました。
そんな中、内藤選手はこう語っています。
「残された時間には限りがある。だからこそ、誰かのためじゃなく、自分のために動いてみるのもいいのかなって思うんです」
これはまさに、プロレスという“信念の舞台”に立ち続けた男が、最後の瞬間まで自分らしくあることを選んだ――そんな決断だったのです。
BUSHIも“主君”と共に退団へ、「俺は内藤に付いていく」
そして今回、もう一人の男も静かにリングを降ります。
それがLIJの同志であり、2015年から共に戦ってきたBUSHI選手です。
実はBUSHI選手は今年、新日本との所属契約を一度は更新していたにも関わらず、内藤選手の退団を受けて自らも契約解除を申し出たというのです。
かつてLIJ加入時に放った「俺は内藤に付いていく」という一言。それを文字通り10年間貫いた形になります。
この2人の絆の強さも、プロレスファンの心を熱くさせる所以です。
最後の舞台は5月4日・福岡大会に決定!
2人の新日本プロレスでの最終試合は、5月4日に行われる福岡大会。
ここが事実上の“ラストマッチ”となります。
なお、BUSHI選手が出場予定だった「BEST OF THE SUPER Jr.(5月10日開幕)」は欠場となる見込み。
新日本のリングで2人がどんなフィナーレを飾るのか、目が離せません。
今後の動向は?世界中が注目する“次のステージ”
内藤選手、そしてBUSHI選手の今後の活動については未定ですが、
国内外を問わず、すでに多くの団体が熱視線を送っているのは間違いありません。
AEW、CMLL、NOAH、DDT、GLEAT…可能性は無限。
あるいは、まったく新しい舞台を立ち上げることも、想像の範囲を超えていません。
彼らの選択が次にどこへ向かうのか、ファンとしてはワクワクと一抹の寂しさを抱えながら、ただ見守るしかありません。
まとめ:内藤哲也は「新日本を愛していた」からこそ、去る
「制御不能」――
このキャッチフレーズは、リング上だけでなく、人生そのものに通じていたのかもしれません。
内藤哲也というレスラーは、誰よりも新日本を愛していたからこそ、悩み、葛藤し、そして自ら道を切り拓く決断をしたのだと思います。
その旅立ちは、悲しみではなく敬意と拍手で送り出したい。
内藤哲也、BUSHI、そしてLIJの物語は、ここで一区切りを迎えますが、まだ終わりではありません。
むしろこれからが、新たな伝説のはじまりなのかもしれません。
コメント