2025年、ついにやってきました――大阪・関西万博。
「いのち輝く未来社会のデザイン」という壮大なテーマを掲げ、日本が世界に向けて未来の社会像を発信するこの一大イベント。4月13日(土)の正式開幕を前に、前日の12日(金)には、開会式が盛大に開催されました。
その舞台となったのは、大阪市に新設された万博会場内の**「EXPOホール・シャインハット」**。未来感あふれる建築と、伝統文化が交差する空間で行われたこのセレモニーには、関係者や招待客のみならず、多くの報道陣が集まり、国内外から熱い視線が注がれました。
大阪万博開会式はやはり注目された!
◆ 両陛下がご臨席――国を挙げてのスタートに相応しい荘厳な空気
開会式で最も印象的だったシーンのひとつ。それは、天皇皇后両陛下のご臨席。
お二人が式場にお入りになると、それまでのざわめきがスッと静まり、空気が一変。会場全体に厳かな緊張感が走りました。
国内の重要行事にご出席されることは多いとはいえ、万博のような国際的な催しにお姿を見せられるのはやはり特別。
これは単なる国内イベントではなく、**日本という国の未来ビジョンを世界に示す“国家的プロジェクト”**なのだという、重みと覚悟がひしひしと伝わってきました。
その姿を目の当たりにして、「ああ、ついに始まるんだな」と感慨深くなったのは、きっと私だけじゃなかったはず。
◆ テーマは「祭り」!日本の心を伝える舞台演出が圧巻
今回の開会式、演出テーマはずばり**「祭り」**。
「日本の文化の根底に流れる“祈り”や“つながり”を、世界に伝えよう」という意図が込められた、非常に象徴的なテーマです。
ステージでは日本各地の伝統芸能や音楽が融合し、日本の「和」の精神が多彩な形で表現されていきました。中でも圧巻だったのが、歌舞伎の名作『連獅子』の上演。観客が息を呑み、目を奪われたのは間違いなくこのシーンでした。
大阪万博開会式:歌舞伎・連獅子は誰?あの人だった???
演目となった**『連獅子』**は、歌舞伎ファンの間でも特に人気の高い演目の一つ。
親子の獅子が登場し、子を千尋の谷に突き落とし、這い上がってきた者だけを我が子と認める――という、厳しくも深い愛がテーマとなっています。
なんといっても見どころは、**親獅子・子獅子が赤い長毛を振る「毛振り」**のシーン!
この毛振り、ただのパフォーマンスではありません。舞台上で何度も、力強く、そしてリズムよく毛を振るその姿には、芸の鍛錬と魂が宿っているようで、観ているこちらも背筋がゾクゾクしました。
親が子を育て、試練を与え、それを乗り越えた子が受け継いでいく。
まさにそれは、今回の万博テーマである「いのちの継承」ともリンクする、深いメッセージだったのではないでしょうか。
華やかな舞台に立ったのは、歌舞伎界を代表する尾上菊之助さん、中村隼人さん、中村莟玉さんの3名でした。

この夢の共演は、日本の伝統芸能を世界にアピールするだけでなく、歌舞伎の未来を担う3人の個性と実力が光った瞬間でもありました。
ここでは、この3名の俳優について、背景やこれまでの歩み、歌舞伎界における存在感などを深掘りしてご紹介します!
◆ 尾上菊之助(おのえ きくのすけ)
- 年齢:47歳(1977年8月1日生まれ)
- 屋号:音羽屋
- 本名:寺嶋和康
- 父親:七代目尾上菊五郎
- 母親:富司純子(女優)
- 妻:中村吉右衛門の娘(つまり歌舞伎界の“御曹司婚”!)
歌舞伎界の名門「音羽屋」に生まれ、父・尾上菊五郎から芸を受け継いだ尾上菊之助さん。言わずと知れた“サラブレッド”であり、伝統の重みと革新への意欲を併せ持つ存在として知られています。
1995年に四代目尾上菊之助を襲名して以来、その演技力と美しさで第一線を走り続け、数々の大役を務めてきました。特に女方(おんながた)としての完成度は高く、所作や目線ひとつに「芸の深み」を感じさせるのが彼の真骨頂。
また、最近では海外公演にも積極的で、英語字幕や現代的演出を取り入れた歌舞伎に挑戦するなど、伝統芸能の“次のステージ”を模索し続ける姿勢も高く評価されています。
今回の『連獅子』では、親獅子という精神的支柱の役を見事に演じ、観客の心に深く訴えかけました。
◆ 中村隼人(なかむら はやと)
- 年齢:31歳(1993年11月30日生まれ)
- 屋号:萬屋
- 父親:二代目中村錦之助(俳優・元時代劇スター)
- 初舞台:2002年『初春錦絵賑(はつはる にしきえの にぎわい)』
中村隼人さんといえば、端正な顔立ちとスタイリッシュな佇まいで、「歌舞伎界の貴公子」と呼ばれる存在。
伝統的な歌舞伎の世界に、現代的な感性と親しみやすさを持ち込んだことで、新しい層のファンを開拓した功労者でもあります。
また、テレビドラマや映画への出演も多く、NHKの大河ドラマや民放の時代劇などでの演技も評価されています。伝統芸能の枠を超えた活動が、歌舞伎を「知らない世代」にまで広げているのは、まさに隼人さんの功績と言ってもいいでしょう。
しかしその一方で、舞台では確かな基礎と表現力を発揮し、単なる“アイドル的人気”にとどまらない実力派でもあります。今回の「連獅子」でも、若獅子のエネルギーを力強く体現し、舞台全体に躍動感を与えました。
◆ 中村莟玉(なかむら かんぎょく)
- 年齢:28歳(1996年6月21日生まれ)
- 屋号:高砂屋
- 旧名:林家正蔵の弟子・中村梅丸(ばいまる)として活動
- 2019年:中村莟玉を襲名
中村莟玉さんは、ここ数年で急速に注目度が高まっている若手歌舞伎俳優のひとり。
2019年に“中村梅丸”から“中村莟玉”へと改名し、新たなステージへと歩みを進めました。「莟(つぼみ)」という名前には、「これから大きく花開く存在になってほしい」という意味が込められており、その名の通り、今まさに開花しつつある逸材です。
演技スタイルは繊細で柔らかく、所作や台詞まわしに非常に高い品格があります。見た目の華やかさよりも、じっくりと“伝わる演技”ができるタイプで、演出家や先輩俳優からの信頼も厚い存在です。
今回の『連獅子』では、3人の中で最も若手ながら、重要なポジションで堂々とした舞台を披露。先輩二人に囲まれても埋もれることなく、しっかりと“自分の芝居”を見せてくれました。
まとめ
今回の『連獅子』は、万博開会式という“未来を描く祭典”の幕開けにふさわしい舞台でした。
それは同時に、歌舞伎という芸能がこれからも生き続ける――そんな力強い宣言でもあったのです。
三者三様の美しさと個性。
三世代の経験と才能。
そして、ひとつの舞台で交わった“いのちの輝き”。
「歌舞伎って、やっぱりすごい。」
そんなシンプルだけど大きな感動を、多くの人に届けたこの舞台。
今、まさに“次の世代”が花開こうとしています。
今後の三人の活躍も、絶対に目が離せません!







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